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最高裁判所第二小法廷 昭和39年(あ)2370号 決定 1965年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人吉田安の上告趣意第一は単なる法令違反の主張であり、同第二は判例違反をいう点もあるが、引用の判例は本件と事案を異にして適切でなく、その余は単なる法令違反の主張に帰し、すべて刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。(犯人が他人を教唆して自己を隠避させた場合に犯人隠避罪の教唆犯が成立するとした原判断は正当である〔昭和三五年(あ)第九八号同年七月一八日当小法廷決定、刑集一四巻九号一一八九頁参照〕。また、第一審が懲役七月の実刑を言い渡したのに対し、被告人の控訴により、控訴審が、第一審判決を破棄して自判するにあたり、懲役七月及び罰金五、〇〇〇円に処するとともに三年間右懲役刑の執行を猶予する旨を言い渡しても、第一審判決を被告人の不利益に変更したものとはいえない〔昭和二五年(あ)第二五六七号同二六年八月一日大法廷判決、刑集五巻九号一七一五頁、昭和二六年(れ)第一八二六号同年一一月二七日第三小法廷判決、刑集五巻一三号二四五七頁参照〕。)

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)

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